20180131 脳梗塞に対する骨髄単核球移植の治験(日本・国循)
Intravenous Autologous Bone Marrow Mononuclear Cell Transplantation for Stroke: Phase1/2a Clinical Trial in a Homogeneous Group of Stroke Patients
Stem Cells Dev. 2015 (19):2207-18
<Abstract>
重症心原性脳塞栓症の患者に対して発症10日目に自家骨髄単核球の静脈移植を行った国循の治験。発症7日目にNIHSSが10点以上の患者に対して2.5億or3.4億の細胞投与を行った。明らかな副作用は無く、ヒストリカルコントロールと比較し有意な機能改善が得られ、脳血流と代謝も改善傾向にあった。
<Figureの説明>
過去に存在した同程度の脳梗塞患者をhistorical controlとし骨髄単核球移植の機能改善を調べたところ、NIHSS (b)とその改善率 (c)において有意に細胞治療で有効である結果であった。他も概ね改善傾向が示された
<Introduction>
動物実験では脳梗塞モデルに対する造血幹細胞移植は運動機能改善効果が認められており、脳梗塞患者でも血中造血幹細胞数と脳血流/代謝、運動機能改善への相関が認められている。ただ過去に脳梗塞に対して骨髄単核球移植を行った成績は様々で、今回重症心原性脳塞栓症に限定し治験を行うことにした。
<Methods>
12人の重症心原性脳塞栓症(発症7日目のNIHSS>10かつ5以上の改善がない)から10日目以内に25ml(6人)もしくは50ml(6人)の骨髄液を採取、単核球を分離し5分間で静脈投与し、運動機能/核医学(CBF/CMRO2)の変化を過去の同程度の疾患患者をコントロールとし比較した。
<Results>
患者は平均67才、NIHSS16.6点で、2.5億もしくは3.4億個の細胞移植(うちCD34陽性造血幹細胞は330/530万個)を行った。1ヶ月後のNIHSS改善は4.8点で高用量群の方が改善傾向にあり、コントロールと有意差を認めた。脳血流および代謝は1ヶ月後より6ヶ月後で改善傾向に有った。
<川堀の感想>
安全性は確認できたが、代謝および血流改善は自然経過の可能性も考えられるため評価は難しい。運動機能改善がヒストリカルコントロールと比較し一部有意差を認めたことは良い点であるが、症例が少なく次相の研究結果が待たれる。